ICU(国際基督教大学)によるメサイアとは、どんなメサイアなのでしょうか?
これは、一言で言えば「言葉」にとことんこだわったメサイアという ことができます。つまり、例えば英語の発音です。メサイアは英語で書 かれており、ICUの「I」(国際性)として日英両語を学内の公用語とす るICUでこそ成し得ることがあります。現代イギリス英語を基本とした、 お客様にきちんと届く英語を歌うことを目標にしています。これに関し ては、第1回公演の際に「こんなにも言葉がはっきりわかるメサイアは聴 いたことが無い」(日フィル関係者)とプロにまで言わせた事例があり ます。 また、もうひとつは、もちろん「神の言葉」としての聖書の言葉を理 解し、歌うということ。これは、ICUの「C」すなわち「クリスチャニティ」 の具現化です。「I」と「C」を冠に持つ大学のメサイアだからこそ成し 得る、言葉にこだわった「本格メサイア」が、「ICUのメサイア」なので す。
この「言葉」をお客様に良く聞き取っていただくために、現代のホー ルに一番合った歌い方を選んでいます。すなわち、18世紀のヘンデルの 時代の発音や発声を使わず、現代イギリス英語の発音で、現代の発声法 を使います。最近古楽の方式での演奏をする団体もたくさんありますが、 ICUではあえて古楽器を使わず演奏法も現代の方式で行います。これら古 楽の方式は、ヨーロッパの古い石組みの大きな聖堂などでは古楽が有効 でしょうが、現代のホールでは現代の発音・発声・演奏法が一番お客様 に届きやすいという考え方からです。
また、ヘンデルはオペラ作家であり、ひと口にオラトリオと言っても バッハとは性質が異なるものです。その意味でメサイアは「動きの無い オペラ」とも言えるもので、特に第2部以後にジェネンズとヘンデルが盛 り込んだ「ドラマ」を歌うということで、さらに聖書の「言葉」を表現 できるよう注力しています。
第3回ICUメサイア プログラムより